2015/10/08 23:32

珈琲屋さんになるずっと前から、
わたしの生活の中にはいつも珈琲がありました。
母はもともと珈琲好きで、
じつはこっそり妊娠中も、少しだけ飲んでいました。
そうして産まれたわたしの左の腿には、
ちょうど珈琲豆くらいのほくろがあったので
母はそのほくろを珈琲豆と呼んでいました。
イギリス製の珈琲ミルで豆を挽くのは、
こどものわたしの仕事で、そしてちょっとだけもらって
お砂糖をたっぷり淹れて飲むのが楽しみでした。

大人になって珈琲店や喫茶店に通い始め、
あこがれの珈琲店で働き始め、
その後、他の仕事をしながらも、
珈琲店、喫茶店通いはずっと続けていました。

落ち着いた雰囲気の珈琲店、喫茶店が
少なくなってきたなぁ、と、さみしく思い始めた頃、
自分でしなくては、それには自分で焙煎した珈琲豆が必要、
と(自分では)当然の流れのように思い始めました。
そこで焙煎教室に行き、それから
これは自分でひたすら失敗を重ねながら
焼いてみるほかない、と思い、
ひとりひたすら焼きはじめました。

そして、飲んで頂こう、自分で焼いた豆を自分で淹れる、
と決めて、岡山市で月に一回開催されている大きな朝市に
出店することにしました。
夜明けから始まるその市は、それからずっと出店しています。

わたしは北海道出身の、岡山在住なので、
ふるさとの人たちにも、
他の地域の方にも、
わたしの珈琲を飲んでもらいたいな、
と思って通信販売を始めました。
だけど今では、岡山県内の方からも注文を頂くことが多いので
とてもうれしく思っています。


わたしが好きな味のブレンド、をつくりました。
子供のころは、珈琲って苦いもの、だからお砂糖を入れる、と
思っていました。大人になってから、
あまみを感じる珈琲に出会いました。
ほろ苦くて甘い、それがわたしの好きな珈琲。
ちょっとだけ、くだものみたいな爽やかな甘い香り。
それは、主につかっているケニアの豆の仕業です。
強く苦い味がお好きな方は、高温で淹れてください。
あまくまろやかな味がお好きな方はすこしだけお湯の温度を下げて
淹れてみてくださいね。


もうひとつ、つくりました。
こちらはすっきりとした、苦味を抑えたブレンドです。
焙煎をしている下津井という、海沿いのちいさな街、
その名前をつけました。
お年寄りの多いこの町、幅広い世代の方に飲んでもらいたいな、
という想いからやさしい味わいにしてあります。

いろんな街に、たくさんの素敵な珈琲店や喫茶店があって、
そんなすてきな文化を、大切にしていきたいな、と思っていて、
それはきっと、こどもの頃からずっと、だったのだと思うのです。